草履・下駄の鼻緒挿げ替え
お陰様で今の時期でもブーツ等、秋冬物の修理加工のご依頼をいただいておりますが
今回も季節柄、【涼しげな履き物】修理をご紹介いたします。
今回は下駄の【鼻緒挿げ替え】になります。
先週末のお祭りの時、不意に鼻緒が切れてしまった。。。との事でのご依頼です。
その時は応急処置としてボンドにて対応されたそうですが、みせていただいたところ
時間の問題・・・。根本的な修理が必要そうでした。
当店では基本、草履や下駄の鼻緒関連の修理は専門の職人さんに対応していただく術をとらせていただいておりますが
お客さま曰く、「また今週末のお祭にも履いて行きたい。」との事で今回は私が対応させていただきました。
実にヤラレは片足のみでしたが、お客さまより「安心して履きたいので左右両足を。」とのご依頼をいただきました。
それでは早速のパーツ造りです。
元の細いロープのような芯からしっかりした芯材へ。
生地自体にも耐久性のある素材を用い、【頑丈な物】へとアンテナを張らせていただいての作製です。
ご希望の【両足交換】を施し、上手にまとまったのではないでしょうか?
お渡し時にお客さまに足入れ確認をしていただき、ご納得をいただけました。
この【鼻緒】、洋風に言えば【トング】と呼ばれています。
【トングサンダル】と呼ばれるサンダルは実に、この造りのサンダルになるわけですが
いかんせん【切れる】【抜ける】という事がよくあります。
やはり、荷重のかかり方を考えれば【消耗品】の一部として考えた方がよいのかも?しれません。
そういった意味合いでは、日本古来の草履・下駄は鼻緒を簡単に挿げ替えられる
【優秀な造り】をしているのも事実です。
画像にみられるのは、洋風サンダルには見られずの【挿げ替えの入口】になります。
これらは基本、鼻緒自体の造りも【U+U】で構成されていますので
ダメージ症状がよく見られる片側の【U】だけ簡単に交換してあげられるという利点があります。
今回は、その片側の【U】を作製し、まとめさせていただきましたが
応急処置の際には、それなりに丈夫な紐状の物があれば対応が可能です。
鼻緒が切れて困っている女性に対し、Tシャツを「ビリッ!」と破り ?!?!
スマートに挿げ替えてあげられれば、日本男児度UP!確実なのではないでしょうか?。。。
実に昔はこの行為が好意のきっかけに。。。
ロマンスの始まりはココから・・・なんてお話もあるようですし。。。
最後に・・・鼻緒は指の股奥まで入れず、少々浅目の位置で指で挟む。というのが
【上品・粋な】履き方です。
この履き方により、鼻緒自体への負荷も変わってくるのではないかと思います。
一度試してみてください。
和式便器もしかり、こうした履き方が【踏ん張れる日本人】の下半身を造っていたのかな?
と思ったりもしてしまいました。