今回は【重傷】になってしまった婦人靴です。

「ヒールがぐらぐらして・・・」とのご相談です。
現物を拝見、触らせていただいたところ・・・靴が折れてしまっています。。。

このような症状では外見から見える修理では事足りません。
実に人間でいう【背骨】と【それを支える筋肉】のような役割の【目で見えない部分】の修理が必要となります。

バラしてみました。。。

荷重を支える大事な部分が真っ二つに。。。

このような部品がその【大事な部分】です。

 

特にハイヒール等の婦人靴の大黒柱なるこの部品・・・
(お持込み時の折れが生じた)【シャンク(バネ)】と(これから仕込む)【ファイバー芯】になります。

これらに角度の癖付けを施した後、出来る範囲で上手に仕込み直した結果
グラつきはおさまり、強度的にもしばらくは大丈夫そうになりました。

現在の安易に購入する事が出来る靴は【シャンク(バネ)】が弱い傾向があると思います。

やはり、しっかりした造りの靴や昔の靴はその部品にヤキが入っていたりと
しっかりした【大黒柱】が仕込んである傾向も事実です。

普段目には見えない部分ですが、荷重に耐える部分としては最も大事な部分の1つでもあると思います。

時折思うのですが・・・同じ靴のサイズでも、人によって体重は様々。
同じ規格で造っていては、ダメージ進行も自ずと異なってきて当然だと思います。

私が幼少期に与えてもらった【おもちゃの乗り物】には【20kgまで】と記載されていた記憶があります。

実に、現在安易に購入できる【軟な大黒柱】の造りの靴には本当は【体重制限】も必要かもしれません。。。
もちろん、【しっかりした大黒柱】が仕込んである靴はそれなりの人が履いてもおおよそ大丈夫と思われますが・・・。

一例に私が過去に修理のご依頼をいただいた、体の大きなお客さまのお靴(ソールがEVA(スポンジ系)素材)は
それに伴い、過度にEVAが圧縮されていました。

お話の中、「すぐにダメになっちゃうんだよね。。。」なんて事をお伝えいただいた記憶があります。

デリケートな部分はさておき、物理的には靴にも【体重制限】が必要かもしれませんね??

※今回の症状は【荷重以外の要因もあり】で生じる症状です。

 一例に【足休めや車の運転で斜めから荷重をかける】 【根本的にヤワい造り】という事が代表的だと思います。